シド・サクソン (Sid Sackson)
現代ボードゲームデザインの父
シド・サクソン氏
シド・サクソン氏は、アメリカ生まれのボードゲームデザイナー、ボードゲームコレクターであり、現代ボードゲームの発展に大きく貢献した人物です。
サクソン氏は、1920年にアメリカ シカゴで生まれました。
代表作には、ドイツ年間ゲーム大賞を受賞した「フォーカス」、四大古典とも言われる「アクワイア」、「キャントストップ」、「アイム・ザ・ボス」などがあります。
また名デザイナーである一方で、ボードゲームコレクターとしての一面もあります。
著書「シド・サクソンのゲーム大全」や、月刊コラムの執筆などを精力的に行なっていました。
2002年に亡くなるまでの間、ボードゲームを集め続け、コレクションは18000タイトルにものぼったといいます。
では、シド・サクソン氏の代表作を見ていきましょう。
アクワイア (Acquire)
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原題:Acquire | 作者:Sid Sackson | 発売年:1962年 |
人数:3~6人 | fa-clock-o時間:90分 | fa-user-plus年齢:12歳~ |
フォーカス (Focus)
原題:Focus | 作者:Sid Sackson | 発売年:1963年 |
人数:2~4人 | fa-clock-o時間:30~60分 | fa-user-plus年齢:10歳~ |
キャント・ストップ (Can't Stop)
「キャント・ストップ」は、サクソン氏が1980年にデザインしたサイコロゲームです。
キャント・ストップは言わずと知れた有名ゲームであり、発売後、長い間遊ばれ続けています。
サイコロを4つ振り、2つずつのペアに分け、2~12の数字の列で駒を進めます。
成功している間は、続けてサイコロを降ることができますが、狙った数字が出なかった場合は、そのターンに進んだ分は無効になってしまいます。
サイコロを振りたくなる誘惑を止められない! まさにキャント・ストップなゲームです。
これまでに何度もデザインが改良されてきました。
2016年には新たなパッケージで日本語版が発売されています。
また、国によってもいろいろなデザインのものが販売されており、可愛らしい見た目が目を引きます。
原題:Can't Stop | 作者:Sid Sackson | 発売年:1980年 |
人数:2~4人 | fa-clock-o時間:30分 | fa-user-plus年齢:9歳~ |
アイム・ザ・ボス (I'm the Boss!)
アイム・ザ・ボスは、各プレイヤーが、商談によってお金を稼ぐゲーム。
各プレイヤーは、他人の商談を邪魔したり、横取りしようと目論みます。
ビジネス要素たっぷりの戦略ゲームかと思いきや、交渉メインのパーティゲーム。
気の知れた仲間とワイワイするのがおすすめです。
シド・サクソン氏のゲームデザインの幅を知れる作品です。
原題:I'm the Boss! | 作者:Sid Sackson | 発売年:1994年 |
人数:3~6人 | fa-clock-o時間:60分 | fa-user-plus年齢:12歳~ |
アレックス・ランドルフ (Alex Randolph)
世代を超えて愛される伝説的なゲームデザイナー
アレックス・ランドルフ氏(写真右)
なお、写真左は、ドイツのAI研究者クリストフ・エンドレス。
アレックス・ランドルフ氏は、1922年にアメリカ・アリゾナ州に生まれました。
前述のシド・サクソン氏と並んで、現代ボードゲームの基礎を築き、ボードゲーム界の発展に大きく貢献した偉大な人物です。
代表作は、「ハゲタカのえじき」、「ザーガランド」、「ツイクスト」、「ガイスター」、「ベニスコネクション」、「チャオチャオ」、「ドメモ」など。
非常に多くの有名ゲームを手掛けた伝説的なデザイナーです。
ランドルフ氏は、1961年から日本に移住していました。そして、日本でプロのデザイナーとなったのです。
日本では、将棋に興味を持ち、有段者になるほどの実力者です。
ランドルフ氏は、現代のボードゲームデザイナーのレジェンドと呼ばれる3Kにも多大な影響を与えました。
3Kの一角、クラウス・トイバー氏は、ランドルフ氏がデザインするゲームが素晴らしいのはもちろん、他のボードゲーム作家のための道を切り開いたとして、「ゲーム世界での最上位の存在」と述べています。(参考:https://www.d3p.co.jp/EGC/what)
ガイスター (Geister)
ガイスターは、1982年にデザインされた2人用のボードゲームです。
6×6のマスの盤面上で、各8体ずつのおばけを操ります。
8体の内訳は、いいおばけ4体、悪いおばけ4体ですが、相手は見ることができません。
相手の良いおばけを4体とも取るか、悪いおばけを4体とも取らせたら勝利です。
悪いおばけを捕まえてほしいという思惑をベースに、各プレイヤーは心理戦を繰り広げます。
ランドルフ氏は日本に住んでいた際に、将棋の有段者になりました。
ガイスターは、少なからず将棋からヒントを得ていると思われます。
原題:Geister | 作者:Alex Randolph | 発売年:1982年 |
人数:2人 | fa-clock-o時間:15分 | fa-user-plus年齢:10歳~ |
ベニスコネクション (Venice Connection)
ヴェニスコネクションは、1988年にデザインされたゲームです。
各プレイヤーは、水の都ヴェネチア(ベニス)を舞台に、水路の完成を目指します。
最後の1枚を置いて、水路の環を完成させた方が勝ち。完成しないと予想してもOK。
相手にどこに置かせるかを考えるため、詰将棋のような要素を持っています。
風情あるタイルのデザインが美しいこの作品は、ドイツ年間ゲーム大賞美術賞を受賞しています。
ちなみに、アレックス・ランドルフ氏は1968年からイタリアのヴェネチアに移住しています。
人生の最期を迎えたのもこのヴェネチア。
ランドルフ氏の思い出の地ヴェネチアが思い起こされるゲームです。
原題:Venice Connection | 作者:Alex Randolph | 発売年:1988年 |
人数:2人 | fa-clock-o時間:5分 | fa-user-plus年齢:8歳~ |
ハゲタカのえじき (Hol's der Geier)
ハゲタカのえじきは、バッティングのエッセンスが凝縮されたボードゲームです。
1~15の書かれたカードを一斉に出し、最も高い数字を他のプレイヤーと被らないように単独で出すことを目指します。
人と被らないようにする事が、こんなにも難しいなんて思ったことがあったでしょうか?
日本版は随分とデフォルメされたハゲタカが特徴。
パッケージで子供だましと決めつけることなかれ。中身は洗練された紛れもない名作です。
原題:Hol's der Geier | 作者:Alex Randolph | 発売年:1988年 |
人数:2~6人 | fa-clock-o時間:20分 | fa-user-plus年齢:8歳~ |
ウミガメの島 (Mahe)
ウミガメの島は、サイコロを振って、自分のカメを進め島を回るすごろくゲームです。
島を一周する毎にたまごがもらえ、たまごの数で競います。
このゲームの特徴は、サイコロを2個、3個振れる事。ただし、合計値が8以上になるとスタートに戻されてしまいます。
また、他のウミガメの背中に乗る事ができ、自分だけがたまごを獲得できます。
背中に乗せられるコンポーネントが可愛らしい。
ちなみに、ウミガメの島は、冷たい料理の熱い戦い(Die heisse Schlacht am kalten Buffet)というゲームのリメイク。
名を変え、デザインを変え、遊び続けられる名作ゲームです。
原題:Mahe | 作者:Alex Randolph | 発売年:1974年 |
人数:2~7人 | fa-clock-o時間:30分 | fa-user-plus年齢:7歳~ |
ザーガランド (Sagaland)
「ザーガランド」は、1982年に発売されたファミリーゲームの王道的なすごろくゲームです。
ランドルフ氏は、このザーガランドで、ドイツ年間ゲーム大賞を受賞しました。
ランドルフ氏がドイツ年間ゲーム大賞で「大賞」を受賞した唯一の作品です。(特別賞とキッズ部門での受賞は他にもあります)
各プレイヤーはお城を目指しますが、途中、特定のマスに止まると、落ちているお宝を確認することができます。
お城についた後、課題カードの示すお宝の位置を当てることができたら、それを獲得できます。
原題:Sagaland | 作者:Alex Randolph | 発売年:1982年 |
人数:2~6人 | fa-clock-o時間:30~60分 | fa-user-plus年齢:8歳~ |
アメリカ生まれの二大巨塔デザイナーのゲームで遊んでみよう!
今回は、アメリカ生まれの二大巨塔デザイナー、シド・サクソン氏とアレックス・ランドルフ氏を紹介しました。
現在のボードゲームがあるのは、ひとえにサクソン氏、ランドルフ氏の功績があったからと言っても過言ではありません。
そして、今回紹介したのは、サクソン氏、ランドルフ氏の作品のほんのごく一部です。
ぜひ、これを期に、偉大な伝説的デザイナーの作品を探して、プレイしてみて下さいね。
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