ボードゲームは、1980年頃からドイツを中心に発展していきました。現代ボードゲームブームの幕開けです。
でも実は、1980年代のドイツゲームブームが始まる前から、ボードゲーム自体は、数多くあり、楽しまれていました。
中でも、四大古典ゲームと呼ばれる「モノポリー」、「ディプロマシー」、「リスク」、「アクワイア」は、特に有名で、全世界でプレイされる歴史的な傑作ゲームです。
しかも驚くべきことに、四大古典ゲームは、いずれもドイツ以外の国で開発されています。
今回は、この四大古典ボードゲームに着目し、ボードゲームの歴史を紐解きます。
知れば知るほど奥ゆかしい、ボードゲームの世界にあなたをご案内します。
1933年 モノポリー(Monopoly)
モノポリーといえば、知らない人がいないくらい有名なアメリカの国民的ボードゲーム。
日本で言えば人生ゲームに該当するようなアナログゲームの代名詞的な存在ですが、なんと1930年代にはすでに完成していました。
モノポリー発売当初のアメリカは、ウォール街の大暴落による不況でしたが、そんな状況下でも大ヒットを飛ばした作品です。
モノポリーは、独占を意味し、同じエリアの都市を独占して、家やホテルを立てることで、他のプレイヤーを破産させるゲームです。
みんな大好き、「GO」のマス。
ボードウォークを無事通過したときの喜びは誰もが味わったことがあるでしょう。
ちょうど「GO」に止まるとサラリーが倍になる「Just Go!」をはじめ、好きなローカルルールを追加する楽しさもありました。
モノポリーのヒットは、アメリカ国内に留まりません。世界各国で、その土地の名前が出てくるボードが販売されています。
最高額の土地でおなじみの「ボードウォーク」は、日本版で銀座となっています。
日本で発売されたのは1960年代以降で、本格的に流行し始めたのは、1980年代後半です。
ちなみに、日本でのヒットに一役買ったと言われているのがコピーライターの糸井重里氏。
日本モノポリー協会の会長も務める糸井氏は、世界選手権で8位の実力者。
いまでも多くのシリーズが発表され続けているモンスター級のボードゲームです。
原題:Monopoly | 作者:Elizabeth J. Magie、Charles Brace Darrow※ | 発売年:1933年 |
人数:2~8人 | fa-clock-o時間:60分~180分 | fa-user-plus年齢:8歳~ |
※諸説あります。あくまで私の理解を記載していることをご理解ください。
1959年 ディプロマシー(Diplomacy)
1954年にアメリカの郵便配達人「アラン・B・カラマー」氏が開発した戦略ボードゲーム。
第一次世界大戦前のヨーロッパでの覇権争いがテーマです。
「ディプロマシー」とは外交のことで、各プレイヤーは、ヨーロッパ7カ国(イギリス・フランス・イタリア・ドイツ・オーストリア・トルコ・ロシア)のいずれか首相となり、国を指揮します。
ディプロマシーの特徴はなんと言っても自由度の高い交渉。
他国の支援を得るための取り引きや裏切りと、上手く立ち回る外交センスが求められます。
しかもディプロマシーで勝つためには、協力関係にあった国を裏切り、出し抜く必要があります。
みんなで楽しくプレイするすることをモットーとする場では、やや注意が必要なゲームです。
所要時間はなんと4時間超。重量級ゲームの元祖とも言えます。
こんなユニークな特徴を持つディプロマシーが4大ゲームと呼ばれるのは、
一切のランダム要素を排除した事、外交という大きなテーマを見事に再現したことに尽きます。
信頼関係のあるボードゲーム仲間とプレイしたい名作です。
原題:Diplomacy | 作者:Allan B. Calhamer | 発売年:1959年 |
人数:3~7人 | fa-clock-o時間:240分 | fa-user-plus年齢:12歳~ |
1959年 リスク(Risk)
フランスの映画監督「アルベール・ラモリス」氏によって考案された戦略ボードゲーム。
初版は「世界征服」(La Conquête du Monde)という題名で1957年に発売されたらしい。
中世ナポレオン時代の世界を背景に、各プレイヤーは、軍隊を統率し、世界の制圧を目指します。
「リスク」とは地政学的なリスクのことを指すのでしょう。
リスクは、陣取りゲームの先駆け的な作品です。
戦争、軍事戦略をテーマとしたボードゲームで、戦闘の処理はサイコロで行います。
サイコロでという不確定要素を含みながらも、どこを攻めるか、守るかは自分の戦略次第。
日本では、他の4大古典ゲームと比べて知名度が低いが、アメリカでは子どもでも知っている有名ゲーム。
その人気を裏付けるように、様々なバージョンのリスクが公式発売されています。ファンにはたまらない。
ちなみに、デザインしたアルベール・ラモリス氏は、映画監督としての功績も素晴らしく(むしろこっちが本職)、「赤い風船」で第29回(1956年)アカデミー賞において脚本賞を受賞。その後も長編映画を手掛けるなどしている。
リスクの初版発売が1957年であることを鑑みると、映画製作の傍ら、ボードゲームをデザインしたのだろうか。とてつもないデザインセンスを感じざるを得ない。
原題:Risk | 作者:Albert Lamorisse | 発売年:1959年 |
人数:2~6人 | fa-clock-o時間:120分~ | fa-user-plus年齢:10歳~ |
1962年 アクワイア(Acquire)
アメリカのボードゲームデザイナー「シド・サクソン」 によるビジネスを題材にしたボードゲーム。
後に、「キャントストップ」や「フォーカス」などの名作ゲームをデザインし、現代ボードゲームの父とも呼ばれるシド・サクソン氏であるが、最も有名な作品がこの「アクワイア」。
「アクワイア」は、獲得するという意味で、企業の吸収合併をテーマにしており、企業の株を売買しながら、お金を稼ぐことが目的のゲームです。
ゲームボード上に建物を敷き詰めていき、建物同士が隣あうと規模の小さな企業が、大きな企業に吸収されます。
このときに、その企業の株を持っているとお金がもらえる。どのタイミングで、どの企業を吸収するか、先読みと駆け引きが楽しい。
古典ゲームと言いながらも、今だに最新ゲームと比べても見劣りしないゲーム性を持っている。
実は、現代ドイツゲームの要素を持つ最初のゲームとも言われています。
ドイツを中心にボードゲームの人気が拡大しつつあった1980年代よりも10年以上も前に、しかもアメリカで誕生していたというのだから、驚きを隠せない。
1962年に発売されて以降、何度かリメイクされて販売されており、不朽の名作と呼ぶにふさわしいゲームです。
ちなみに、デザイナーのシド・サクソン氏は、ボードゲームコレクターとしても知られ、このコレクション数は18,000個とも言われています。
シド・サクソンのゲーム大全は、ボードゲーム史の金字塔。
原題:Acquire | 作者:Sid Sackson | 発売年:1962年 |
人数:3~6人 | fa-clock-o時間:90分 | fa-user-plus年齢:12歳~ |
四大古典ボードゲームを体験しよう!
今回は、四大古典ボードゲームを紹介しました。
これらは、現代ボードゲームブーム以前にドイツ以外で生まれていた伝説的なボードゲームです。
大味な部分こそあるかも知れませんが、遊んでみると、50年以上も前に開発されたという事実の凄さを身をもって体感できるはずです。
是非一度体験あれ。
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