ボードゲームを調べているとたまに見かける言葉「レガシー」。
「レガシー」とは、和訳すると遺産ですが、ボードゲームのジャンルの一つ「レガシーシステム」を指しています。
実は「レガシー」は、ボードゲームにとって、「禁断のシステム」なのです。
一体どういう意味なのでしょうか?
この記事では、レガシー系ゲームが気になっているあなたが、以下のことがわかるように、解説していきます。
- レガシーはどのようなジャンルか
- レガシー系ゲームの面白さ
- レガシー系ゲームの注意点
- おすすめのレガシー系ゲーム
では、見ていきましょう。
レガシーとはどんなジャンルのボードゲーム?
遊べるのは1回限りの禁断のシステム!?
はじめに、レガシーシステムとは、なんと「1度しか遊べない」という特徴を持つ禁断のシステムです。
1度しか遊べないかわりに、非常に濃厚な体験ができるため人気のジャンルです。
ボードゲームは基本的に、何度も繰り返し遊ぶことを前提として作られていますよね。
遊べるのは1回限りというのは、そんなボードゲームの前提を根本から覆すほどの威力があります。
では、1度しか遊べないレガシーシステムをもう少し詳しく見ていきましょう。
ゲーム自体が成長していく
レガシーシステムには、「プレイヤーの選択によりゲーム自体が成長していく」という特徴があります。
ゲーム自体が成長するとはどういうことなのでしょうか?
例えば、ローププレイングゲームでは、主人公が選んだ選択肢によって、その後の展開が変わってきますよね。
レガシーシステムを採用しているボードゲームでも同じ様に、ゲーム中の選択や結果によって、その後のゲームが変わってくるのです。
そして、ゲームを進めるにつれて、ゲームの展開が変わるのはもちろん、ルールや目的さえも変化します。
すなわち、レガシーゲームのポイントは、ボードゲームにストーリー性が強く加わるという点にあります。
ボードゲームで遊びながら、まるで映画や小説を見ているような感覚が味わえるのがレガシーゲームなのです。
そして、同じゲームなのに、遊ぶ人によって異なるストーリーを体験することもありえます。
同じゲームを購入したAさんとBさんでも、ゲームの中で、別々の選択をしたり、ゲーム結果が異なることで、途中のストーリーや最終的な結果が違うものになるという事が起こります。
これが、「プレイヤーの選択によりゲーム自体が成長していく」というレガシーシステムの特徴です。
元の状態は戻せない!
冒頭で、レガシーシステムには1回しか遊べないという特徴があると言いました。
ここでは、なぜ一度しか遊べないのかを解説します。
なぜ、1回しか遊べない理由は、「一度ゲームを進めてしまうと元の状態には戻せない」からです。
元には戻れない具体的な理由として、以下の3つがあります。
- ネタバレ要素
- 物理的な加工
- それまでの結果が次に引き継がれる
順番に見ていきましょう。
ネタバレ要素
1度しか遊べない理由の1つ目は、ネタバレがあることです。
結果を知ってしまうと、結果を知る前には戻れません。
例えば、クイズを解いて、正解を知ってしまうと、同じようには楽しめませんよね。
レガシー系ゲームでも、一度内容を知ってしまうと、知る前と同じようには楽しめなくなってしまいます。
これがネタバレ要素です。
物理的な加工
1度しか遊べない理由の2つ目は、物理的な加工があることです。
レガシーシステムのゲームでは、ゲームを進めていく過程で、ボードゲーム自体へ加工を行う動作が入ります。
具体的には、カードに書き込みを行ったり、コンポーネントを折り曲げたり、箱を開けたり、シールを貼り付けたりといった作業です。
このように「物理的に加工」することで、元の状態に戻れなくなるのです。
それまでの結果が次に引き継がれる
1度しか遊べない理由の3つ目は、それまでの結果が次に引き継がれることです。
レガシーシステムのゲームでは、ゲームを繰り返すことで、全体としての物語が進んでいきます。
言い換えると、毎回のゲームの結果が、その次のゲームに反映されていくのです。
このように、全ての結果が繋がっていくため、途中でリセットすることができません。
もちろんゲームを中断することはできますが、やり直すことはできません。
以上の3つの理由から、レガシー系ゲームは、1度しか遊べないのです。
レガシー系ボードゲームの面白さとは?
ここまで、レガシーシステムは、1度しか遊べない禁断のシステムということを説明しました。
一見するとデメリットが大きすぎるように見えますが、レガシー系ゲームの面白さはどこにあるのでしょうか?
面白さの秘密に迫りましょう。
従来のボードゲームでは味わえない体験
レガシー系ゲームの面白さは、ズバリ「従来のボードゲームでは味わえない上質な体験」が味わえる点にあります。
1度しか遊べないという制約と引き換えに、レガシー系ゲームで得られる上質な体験とは一体何でしょうか?
それは、日常では得られない「密度の濃い ドキドキ感 や ワクワク感」です。
ドキドキ感やワクワク感が、ゲームの世界への没入感を与え、興奮に繋がるのです。
では、なぜレガシー系ゲームでそのような体験ができるのでしょうか?
それは、次の3つの理由からです。
- 次の展開が読めない
- 主人公としてゲームを動かせる
- 1度しか選択できないという制約が過ごす時間の密度を高める
先が読めないからこそ面白い!
レガシー系のゲームは、ボードゲームにストーリー性が加わっています。
そして、そのストーリがゲームのドキドキ感・ワクワク感を高めています。
ストーリーが面白いのは、初めての事態に直面したり、先が読めないという「わからなさ」があるからです。
時には、ボードゲームのプレイ中に、想像を遥かに上回る事態が起きたりもします。
先の展開がある程度予想できる通常のボードゲームとは異なり、「先がわからない」ということが、ドキドキ感・ワクワク感に繋がり、レガシー系ゲームの魅力となっているのです。
自分たちが主人公だから面白い!
また、レガシー系ゲームでは、自分たちが物語の登場人物であり、主人公です。
自分たちの選択やゲームの結果により、その都度、ゲーム自体が変わります。
自分たちが世界を動かしていくいう感覚が、ゲームの臨場感を高め、ゲームにのめり込むことができるのです。
1度しかできないからこそ面白い!
さらには、1度しかできないという制約も、ドキドキ感、ワクワク感を高める要因になっています。
いろいろな思考を巡らせ、慎重に選択していくことで、通常のボードゲームよりも密度の濃い時間を過ごすことができます。
この様に、レガシー系ゲームでは、「従来のボードゲームでは味わえない上質な体験」が味わえます。
そして、その上質な体験こそがレガシーシステムのが最大の魅力であり、面白さです。
レガシー系ボードゲームの注意点は?
通常のボードゲームでは味わえない上質な体験ができるレガシーシステムですが、注意することはあるのでしょうか?
レガシーシステムのボードゲームの購入・プレイを検討するときは次のことを頭に入れておく必要があります。
- ストーリーを楽しめるのは1回限り
- ネタバレ厳禁
順番に見ていきましょう。
ストーリーを楽しめるのは1回限り
繰り返しになりますが、レガシーシステムでは、元に戻せない制約があるため、ストーリーを味わえるのは一度限りです。
これは、何度も繰り返して遊ぶことが前提の「通常のボードゲーム」とは異なる点なので、購入時は注意しましょう。
1回限りだけど、1回は意外と長い!?
1回限りと聞くと、すぐに終わってしまう印象を持つかも知れませんが、実はその1回が意外と長かったりします。
例えば、「パンデミック:レガシー」というゲームでは、12ヶ月分のストーリーが入っています。
1ヶ月が通常のパンデミック1回分なので、だいたい1時間はかかるでしょう。
パンデミックレガシーはそれを12回繰り返して初めてクリアとなるので、少なく見積もっても12時間分はあるでしょう。
もちろん、ゲームにもよりますが、すぐに終わってしまって不満というケースは、それほど多くはないので、心配しすぎなくても良いと思います。
ゲームのクリア後はどうなる!?
ちなみに、ゲームのクリア後はどうなるのでしょうか?
実は、全く遊べなるかというと、必ずしもそうではありません。
ゲームによっては、クリア後も遊べるゲームもあります。
一回クリアしてしまうと、ゲームが進んでいくというストーリー性は失われるのですが、普通のボードゲームとして遊ぶことができる作品もあります。
ネタバレ厳禁
レガシーシステムの2つ目の注意点は、「ネタバレ厳禁」であることです。
レガシー系ゲームでは、非常にスリリングでドラマティックな体験ができるので、ゲームをクリアしたあと、感想を誰かに話したくなることもあると思います。
しかし、そのレガシーゲームをプレイしていない人には、話してはいけません。
その人が同じゲームを楽しめなくなってしまうからです。
感想を言うのは、同じゲームをプレイした人の間だけにしましょう。
また、同じ理由で、はじめから最後までストーリーを味わうためには、始めてから終わるまで、同じメンバーで遊ぶのがベストです。
意外とクリアするまでの時間が長かったりするので、時間がとれるメンバーでスタートするべき、ということも頭に入れておきましょう。
おすすめのレガシー系ボードゲームは?
ここまでで、レガシーシステムの面白さや注意点を説明してきました。
少しずつ、レガシー系ゲームに興味が出てきたのではないでしょうか?
では、ここからは、レガシー系ゲームには、具体的にどういう作品があるのかを紹介していきます。
パンデミック:レガシー シーズン1 / シーズン2
パンデミックレガシーは、協力ゲームの決定版「パンデミック」をベースにしたレガシー系のゲームです。
パンデミックレガシーでは、1月から12月までの1年間のストーリーを味わいます。
通常のパンデミック1回分が1ヶ月に相当し、ゲームを繰り返すことで、ゲームの中での時間が進んでいきます。
前月のプレイ状況が当月に反映される他、極秘のカードでルールが追加されたり、手に汗握るストーリーが展開されていきます。
初めてレガシー系ゲームをやる方におすすめしたいボードゲームです。
原題 | Pandemic Legacy: Season 1 |
作者 | ロブ・ダヴィオー(Rob Daviau)
マット・リーコック(Matt Leacock) |
発売年 | 2015年 |
人数 | 2~4人 |
時間 |
60分 |
fa-user-plus年齢 | 13歳~ |
4人用協力型ボドゲ『パンデミック:レガシー』最高に面白かった! 過去遊んだボードゲームの中で一番面白い。秘密指令の封を開けたりスクラッチ削るのがたまらない。10時間ぶっ通しで遊び、続きはまた来週。本当におすすめです。 pic.twitter.com/gXjhykCpsu
— 伊予柑🍊 (@iyokan_nico) January 9, 2016
なお、パンデミックのレガシーシリーズには、以下の2作品があります。
- シーズン1 赤箱 / 青箱
- シーズン2 黒箱 / 黄箱
ちなみにシーズン1の赤箱と青箱、シーズン2の黒箱と黄箱の違いはパッケージです。
中身は同じものになっています。(コレクター向けですね)
通常のパンデミックはこちら。
街コロ レガシー
街コロレガシーは、お金を集めて自分の街を発展させるサイコロゲーム「街コロ」のレガシー版です。
プレイヤーは、不思議な島「マチコロ島」の中の街の長となり、自分の街の発展を競います。
全10回の街コロを通して、「マチコロ島」に秘められた未知の物語を知っていきます。
11回目以降からは、完成した自分たちだけの街コロをプレイできるのも魅力です。
1回あたりの時間も短く、子どもでも楽しめるルールなので、初めてレガシー系ゲームをやる方におすすめです。
街コロレガシー、全10回キャンペーン無事終了〜
おもしろかったーーー😆✨✨街コロより、施設は多いですが、1回のプレイ時間は短く感じました。
世界観もコンポーネントも壮大になった、街コロ島を堪能できました。
ロマン溢れるサプライとシステムで、11回目を改めてやるのも楽しみです! pic.twitter.com/zmFpnpGh3D
— YUSSA (@yussaocha) March 1, 2020
原題 | Machi Koro Legacy |
作者 | ロブ・ダヴィオー(Rob Daviau)
JRハニーカット(JR Honeycutt) 菅沼 正夫(Masao Suganuma) |
発売年 | 2019年 |
人数 | 2~4人 |
時間 |
30分~45分 |
fa-user-plus年齢 | 8歳~ |
fa-arrow-circle-right関連記事【街コロ】サイコロを振って、街を発展させよう!初心者でも盛り上がれるメイドインジャパンのゲーム
グルームヘイヴン
グルームヘイブンは、100本以上ものシナリオから構成される超大作の協力系RPGゲームです。
各プレイヤーは、それぞれ固有の目的を持った傭兵を演じ、団結しながら、敵と戦っていきます。
冒険を進めていくにつれて、行動範囲が広がったり、キャラクターが育っていくのは、RPGさながらです。
特にゲームの大部分を占める戦闘シーンでは、能力を使うタイミングが重要で、戦略的な判断が求められ、手に汗握るドキドキ感を味わえます。
ここまで、壮大なファンタジーの世界を体感できるボードゲームは他にないでしょう。
ボードゲームギークでも1位の評価がついた世界一の超大作ゲームです。
コンポーネント数や設定も細かく、ゲームにある程度慣れたプレイヤーにおすすめの作品です。
ついにグルームヘイブン遊んだ!
冒険心くすぐる要素がこれでもかと詰まった超大作。何がいいって戦闘がめっちゃ楽しい。戦闘が楽しいからレベル上げたくなって、レベル上げるために早く次やりたくなるっていうループ!!期待以上の面白さだっ!!#ボードゲーム #ボドゲ pic.twitter.com/Ld7Am65TV3— あきと@verywell (@verywell_akito) January 20, 2020
原題 | Gloomhaven |
作者 | アイザック・チルドレス(Isaac Childres) |
発売年 | 2017年 |
人数 | 1人~4人 |
時間 |
90分~150分 |
fa-user-plus年齢 | 12歳~ |
レガシー系ゲームは他にもいっぱい!
レガシー系ゲームは他にもたくさんあります。
ここでは、紹介しきれないので、タイトルだけ一覧にしておきます。
まとめ レガシー系ボードゲームで遊んでみよう!
今回は、ボードゲームにおける「レガシーシステム」を解説してきました。
「レガシーシステム」は、1回しか遊べないという特徴があり、ボードゲームにとっては「禁断のシステム」です。
ですが、1度しか遊べないからこそ、通常のボードゲームだけでは味わえない濃厚な経験ができ、とてもおもしろい仕組みです。
是非、一度レガシー系ゲームを遊んでみてくださいね。
これまで体験したことのない世界が広がりますよ!