世界には、優れたボードゲームに贈られるボードゲーム賞が多数があります。ボードゲーム賞の種類は、大賞の選考方法や選ぶ人、対象となるゲームの種類など実に様々です。
ボードゲームの受賞歴は、遊ぶゲームを選ぶときの指標になりますが、賞が多すぎてどれを参考にしたらよいかわからないというケースもあると思います。そのため、それぞれの賞の選び方を理解することが重要です。
そこで今回は、たくさんあるボードゲーム賞の中でも優先してチェックすべき7つの賞をピックアップして、どんな賞なのかを解説します。
※クリックするとその賞にジャンプします
1~3はドイツ国内の賞、4~5は国際的な賞、6~7は日本国内における賞です。それぞれの賞の受賞作もリンクで飛べるようにしているので、どんなゲームが受賞したかも合わせてチェックしてみましょう!
また、世界のボードゲーム賞の受賞作が知りたい方は、こちらに最新版の結果をまとめています。
fa-arrow-circle-right関連記事【最新版】2019年の主な世界のボードゲーム賞の受賞作まとめ
ドイツのボードゲーム賞
ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)
ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)は、ドイツの選考委員会によって毎年選ばれるボードゲームの賞です。
ドイツ年間ゲーム大賞の歴史は古く、1979年から始まりました。この賞は、現在、数あるボードゲームの賞の中でも、最も権威のある賞といっても過言ではありません。
大賞の選考理由などは明示されませんが、基本的には、「誰でも楽しむことができる完成度の高いボードゲーム作品」に贈られており、あまりマニアックなものやルールが複雑すぎるものは避けられる傾向にあります。
2001年には子ども向けゲームを対象とした「キッズゲーム賞」が設立、2011年からはやや複雑なゲームを対象とした「エキスパートゲーム賞」が設立され、現在の3部門制となりました。それぞれの賞は、そのロゴマークから、大賞:赤ポーン、キッズゲーム賞:青ポーン、エキスパート賞:黒ポーンとも呼ばれています。
ドイツ年間ゲーム大賞は、毎年5月頃、各部門で3作品ずつノミネート作品が発表されます。そして、6月~7月にその中から、大賞が選ばれます。ノミネートしなかったけれど、ノミネートの候補に残った作品は「推薦リスト入り作品」として発表されます。
ドイツ年間ゲーム大賞を受賞したボードゲームの売上は飛躍的に向上することで知られており、世界で一番注目されているボードゲームの賞といっても良いでしょう。まずは、この賞を押さえたいですね。
- ドイツの選考委員会によって毎年6~7月頃に選ばれるボードゲームの権威ある賞で、3冠の一角。
- 誰でも楽しめる大賞(赤ポーン)、子供向けのキッズゲーム賞(青ポーン)、ゲーマー向けのエキスパート賞(黒ポーン)の3部門制。
- 各部門で大賞、ノミネート作品、推薦リスト入り作品が発表される。大賞以外の順位は未公表。
受賞作の詳細はこちら!
歴代受賞作
・【歴代】ドイツ年間ゲーム大賞を一覧表にまとめてみた (Spiel des Jahres)
部門別
- ドイツ年間ゲーム大賞(赤ポーン):全部知ってる?ドイツ年間ゲーム大賞受賞作を総ざらい!【2010年代】
- エキスパート賞(黒ポーン):【ドイツ年間ゲーム大賞】歴代の「エキスパート部門」受賞作(黒ポーン)を一挙紹介!
- キッズゲーム賞(青ポーン):パパママ必見!子供向けボードゲームなら「ドイツ年間ゲーム大賞 キッズ部門」がオススメ
最新
ドイツゲーム賞(Deutscher Spielepreis)
ドイツゲーム賞(Deutscher Spielepreis)は、1990年から始まったゲームファンの投票によって選定される賞です。
ドイツゲーム大賞と呼ばれることもありますが、委員会によって選ばれるドイツ年間ゲーム大賞とは異なるので、注意が必要です。
毎年5月頃から投票が始まり、9月頃に発表されます。16歳以上の社会人であれば誰でもどの国からでも投票できるので、もちろん日本からも投票可能ですよ。
1位だけでなく、2位~10位までも発表されるので、どんなゲームがゲームファンから評価が高かったのかがよくわかります。
- ゲームファンの投票によって毎年9月頃に選ばれるボードゲームの権威ある賞で、3冠の1つ。
- 1位だけでなく、2位から10位も発表される。
- ドイツに限らず、日本からでも投票可能。
受賞作はこちらで紹介!
アラカルト・カードゲーム賞(À la Carte Preis)
アラカルト・カードゲーム賞(À la Carte Preis)は、ドイツのボードゲーム誌『フェアプレイ』が主催するカードゲームの賞です。
毎年、ジャーナリスト、コレクター、熟練プレイヤーなど約50名の投票によってTOP10を決定します。
もともとは、「à la carte」というカードゲーム専門のコラムが始まりとなっています。対象はカードゲームですが、アラカルト・カードゲーム賞の歴史は1991年からと古く、ドイツボードゲーム3冠の一つと称されています。(残りの2つは、ドイツ年間ゲーム大賞、ドイツゲーム賞)
受賞作は、エッセン国際ゲーム祭(通称エッセン)で発表されます。また、1位だけではなく2位~10位も発表されます。
- ドイツのボードゲーム誌「フェアプレイ」が主催し、有識者の投票によって毎年選ばれる。
- 対象はカードゲームだが、その歴史は古く、3冠の一角。
- 1位だけでなく、2位から10位も発表される。
国際的なボードゲーム賞
国際ゲーマーズ賞(International Gamers Awards)
国際ゲーマーズ賞(International Gamers Awards)は、2000年から始まった世界各国の審査委員によって選ばれるボードゲームの賞です。
世界規模で最高のボードゲーム作品を選ぶことを目的にしています。一般ストラテジー賞と2人用ストラテジー賞の2部門で構成されています。選考の対象は、前年の7月から今年の6月にリリースされた作品です。
国際ゲーマーズ賞では、ボードゲームファンやマニアだけでなく、一般の人々にも認められるような作品を選ぶことで、ボードゲームの素晴らしさを世界に広げようとしています。
- 世界各国の審査委員によって選ばれるボードゲームの賞。
- 一般ストラテジー賞と2人用ストラテジー賞の2部門。
- ゲームの素晴らしさを一般の人々にも広げられるような作品を選ぶことが趣旨。
ゴールデンギーク賞 (BoardGameGeek Golden Geek Award)
ゴールデンギーク賞 (BoardGameGeek Golden Geek Award)は、世界最大のボードゲームサイト「ボードゲームギーク(BGG)」が主催している、年間のボードゲーム賞です。
受賞作は、ボードゲームギークのユーザーによる投票で選ばれます。
ゴールデンギーク賞は、2006年からはじまりました。世界中のボードゲーム好きによって選ばれるため、他の賞と比較してコアなゲームやゲーマーズゲーム(いわゆる重量級ゲーム)が選ばれやすい傾向にあります。
なんと全部で16部門あり、それぞれの部門で、大賞と佳作(ノミネート作品)が選ばれます。部門は以下の通りです。
ゴールデンギーク賞の全16部門
- 「大賞(ゲーム・オブ・ザ・イヤー)」
- 「2人ゲーム」
- アート&プレゼンテーション
- カードゲーム
- 協力ゲーム
- 拡張
- ファミリーゲーム
- イノベーティブ
- パーティーゲーム
- プリント&プレイ
- ソロゲーム
- ストラテジーゲーム
- テーマチックゲーム
- ウォーゲーム
- ポッドキャスト
- アプリ
たくさんあって覚えるのが大変なので、はじめは大賞(ゲーム・オブ・ザ・イヤー)をチェックすればよいでしょう。
なお、各部門でバラバラのゲームが選ばれるわけではなく、特定のゲームが複数の部門で大賞を取るケースがよくあります。
- ボードゲームギーク(BGG)が主催する年間ゲーム賞。
- 世界中のボードゲーム好きによる投票で選ばれるため、コアなゲームな重ゲーが多い傾向。
- 全16部門あり、各部門で、大賞とノミネート作品(佳作)が発表される。
受賞作はこちらで紹介!
日本のボードゲーム賞
日本ボードゲーム大賞
日本ボードゲーム大賞は、「ボードゲームを文化として広め、一般家庭や友達仲間に浸透させ、購入などのわかりやすい指針」とすることを目的に、2002年から始まった日本のボードゲーム賞です。
始まった当初は、ユーザーによる一般投票のみでしたが、2008年から、選考委員会によって選ばれるゆうもあ賞が新設されました。現在は、ゆうもあ賞と投票部門の2部門制となっています。なお、ゆうもあ賞と、投票部門は以下のように選考されています。
『ゆうもあ』のスタッフで構成される選考委員会が選定。
10月~9月までの1年間に国内発売された入門向け・子ども向けゲーム。
ゲームの面白さに加え、『ゆうもあ』が実施するイベントで遊ばれているか、国内流通が確保されているか、ルールのわかりやすさなど。
投票部門:ユーザーによる一般投票で、その年に発売されたゲームの中から海外産/国産、難易度を問わず一般投票でベストワンを決定。
■誰が選ぶの?
『ゆうもあ』が実施するイベント、ショップ、サークルなどを通じて一般の方々からの投票により決定。
■対象となるゲームは?
10月~9月までの1年間に国内発売されたゲーム。
■選考基準は?
各人の投票を点数化(1位:5点、2位:4点、3位:3点、4位:2点、5位:1点)して、すべてを合計。
- 日本で最も権威あるボードゲームの賞。毎年3月頃に発表。
- 委員会の選考による「ゆうもあ賞」と一般投票による「投票部門」の2部門制。
- ゆうもあ賞は、大賞+ノミネート作品が、投票部門は、1位~10位までが発表される。
ゲームマーケット大賞
引用元:ゲームマーケット公式HPより
ゲームマーケット大賞はゲームマーケットが2015年から創設した賞です。2017年からは、ゲームマーケット大賞に加え、エキスパート大賞とキッズ大賞が加わり、3部門で実施されています。
ゲームマーケット大賞は、アナログゲーム・シーンに対して、さらなる盛り上がりに貢献することを目的としています。前年のゲームマーケット秋、ゲームマーケット大阪、ゲームマーケット春のいずれかで販売された商品を選考対象として、この1年間の中で一番面白かったゲームに大賞が贈られます。
なお、審査員は、公正な審査のために、特定の団体に属さない以下の4名によって行われています。いずれの方々もボードゲーム界におけるビッグネームですね。
- 草場純さん:ゲーム研究家であり、ゲームマーケットの創設者。
- 秋山真琴さん:ボードゲームイベントである『ミスボド』の主催者。
- 小野卓也さん:ボードゲームジャーナリスト。ボードゲームワールドの著者としても知られる。
- ふうかさん:超有名ボードゲームブログ『ふうかのボードゲーム日記』の管理人。
また、ゲームマーケット大賞は2019年を最後に、現在の形での賞は終了になることが決定しています。これだけ聞くと、残念に思われるかもしれませんが、その代わりに新たに、「ゲームマーケットセレクション」と「アークライト・ゲーム賞」という2つの賞が新設されます。
- 「ゲームマーケットセレクション」:ゲームマーケット来場者による投票で選ばれる賞
- 「アークライト・ゲーム賞」:ゲームマーケットの主催であるアークライト社が製品化を保証する賞
これは、近年、発売されるゲーム数が増加しており、4名の審査員だけでは選びきれないほどボードゲーム市場が活発化しているためであり、非常に喜ばしいことです。新設される「ゲームマーケットセレクション」と「アークライト・ゲーム賞」は、2020年の受賞作が発表されたら、情報を更新したいと思います。
受賞作はこちらで紹介!
歴代受賞作まとめ
・過去全5回のゲームマーケット大賞の歴代受賞作をまとめました。どんな作品が大賞を取っているのかチェックしてみましょう!
年度別
2019年:2019年ゲームマーケット大賞を振り返る ~受賞作、優秀作品、2次審査通過作品~
2018年:2018年ゲームマーケット大賞を振り返る ~受賞作、優秀作品、2次審査通過作品~
2017年:2017年ゲームマーケット大賞を振り返る ~受賞作、優秀作品、2次審査通過作品~
世界のボードゲーム賞まとめ
今回は、たくさんあるボードゲーム賞の中でも優先してチェックすべき7つの賞をピックアップして解説しました。
1~3はドイツ国内の賞、4~5は国際的な賞、6~7は日本国内における賞でしたね。ボードゲーム賞の種類は、大賞の選考方法や選ぶ人、対象となるゲームの種類など実に様々でした。
ボードゲームの受賞歴は、遊ぶボードゲームを選ぶときの指標になるので、目的に応じて、参考にしてみて下さい。
ここに乗せた以外にも、世界にはたくさんのボードゲーム賞があります。その国ごとに特色があって面白いので、興味があれば調べてみてくださいね。
ボードゲームの選び方